はじめに
こんにちは、エミリーです。今日は事例Ⅲのふりかえりをしたいと思います。
事例Ⅱふりかえりから1年半も経っている…令和3年ではないです令和2年です。すみません。 ブログ全体の目次
事例Ⅲは一番低くぴったり60点でした。事故現場2件。事例1つにつき事故2件まで許されることを明らかにしました…。
問題はこちら
中小企業診断士試験 二次試験 令和2年度 2020年度 事例Ⅲ 事例3
https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2020/c2ji2020.pdf
第1問
C社の⒜強みと⒝弱みを、それぞれ40字以内で述べよ。
再現答案
⒜強み:特殊加工や仕上げ品質を実現できる溶接と研磨の技術力、設計から据付までの一貫体制。
⒝弱み:生産管理不足による納期遅延や2か月のリードタイム、技術力のばらつき、受注の変動。
ふりかえり
ふぞろい採点:20/20(⒜強み:10/10、⒝弱み:10/10)
ここまでは良い感じです◎
第2問(設問1)
C社の大きな悩みとなっている納期遅延について、以下の設問に答えよ。
(設問1)C社の営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ60字以内で述べよ。
再現答案
⒜問題点:契約、図面作成、顧客承認のプロセスで①前工程完了まで後工程が進捗せず②仕様や図面の変更の打ち合わせ工数が過大である点。
⒝対応策:①見積書作成と図面作成を並行して進め②顧客イメージの理解力、提案力を研修で高めてCADデータを活用し、製作前工数を削減する。
ふりかえり
ふぞろい採点:6/20(⒜問題点:3/10、⒝対応策:3/10)
事故現場1件目。与件文のそのまま感がなく、勝手な言い換えをしています。
⒜問題点
7段落目の工程の順序については、「問題」ではなく単なる「説明」としての記述です。
顧客から引き合いがあると、受注製品ごとに受注から引き渡しに至る営業部担当者を決め、顧客から提供される設計図や仕様書などを基に、製作仕様と納期を確認して見積書を作成・提出し、契約締結後、製作図および施工図を作成して顧客承認を得る。
にも関わらず、「①前工程完了まで後工程が進捗」しないことを勝手に問題点に仕立て上げています。単なる「説明」なのか、解決するべき「問題」なのか、切り分けて読むべきでしたし、仮にこれを問題だと捉えたとしても
- 並行して進めることで手戻りが発生し、却って非効率になるのでは
- 「1)図面変更が頻発する、2)図面承認後にも打ち合わせ発生、3)イメージ擦り合わせに時間を要する」の方があからさまに明記された問題点であり解答要素としての優先度が高い
という二点から優先度を下げるべきでした。
また、その誤答に無駄な文字数を割いているため、
- 図面変更が頻発する、図面承認後にも打ち合わせ発生
- 制作前プロセスに時間がかかり→制作期間を確保できない
という与件で指摘されている問題点を、明記できていません。
「1)図面変更が頻発する、2)図面承認後にも打ち合わせ発生、3)イメージ擦り合わせに時間を要する」をまとめて「仕様や図面の変更の打ち合わせ工数が過大である」と要約してしまったため、1)と2)のニュアンスは消え、3)としての部分点のみ加点対象となりました。
⒝対応策
罪1(大罪)
⒜がイケてないので必然的に⒝もイケてない解答になります。
もし⒜「1)図面変更が頻発する、2)図面承認後にも打ち合わせ発生、3)イメージ擦り合わせに時間を要する」の内容を書けていたとしたら、
「顧客イメージの提案力を研修で高めてCADデータを活用し、図面変更、図面承認後の打ち合わせ、打ち合わせ時間を削減する。」と書けて8点/10点でした。
罪2(小罪)
「顧客イメージの理解力(中略)を研修で高めて」は何を言っているのか…
「顧客イメージの理解力」=「顧客がどうイメージするのか理解する力」←わからないけどまだわかる?
「顧客イメージの理解力」=「顧客担当者の理解力」だとすると、顧客に研修を受けさせることになりとんでも解答になってしまう???
2年前の私はおそらく前者の意味で書いたのだと思われますが、それにしてもわかりにくいし、そんな研修あるんですかね???与件にないし、世の中でも使われていない言葉(顧客イメージの理解力)は使わないようにします。。
罪3(小罪)
また、「立体的造形物」に対して「2次元CAD」を使用しているとのことで、「3次元」を思いつくべきでした。
そうすれば罪2で変な研修が爆誕することもなく「3次元CADでイメージ理解促進」という自然な打ち手につながります。
が、試験本番はなぜか「2次元CAD」というワードを「立体的(=3次元)なCADは既に使えているのか〜」と勘違いして読んでしまっていました。
この対策はむずいので、ケーススタディとしてミスノートに蓄積して問題を解く前に一読し、似たミスを回避する、それでも無理なら小罪なので許すことにしましょう。大罪さえ犯さなければ8点/10点だった訳ですから。。
ふりかえり後答案
⒜問題点:①図面変更が頻発②図面承認後にも打ち合わせ発生③イメージ擦り合わせに時間を要する等、製作前プロセスに時間がかかる点。
⒝対応策:3次元CADを導入してイメージ擦り合わせを簡易化し、打ち合わせや図面変更を削減する。製作前プロセスのリードタイムを短縮する。
ふぞろい採点:18/20(⒜問題点:8/10、⒝対応策:10/10)
⒝は1文目40字で加点要素を全て言い切っていますが、最後まで詰め込まないといけない病気なので2文目蛇足ですが追加しています。字数余っても何か詰め込むのがおすすめです。
第2問(設問2)
C社の製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ60字以内で述べよ。
再現答案
⒜問題点:①業務が標準化されておらず技術力にばらつき②難易度を考慮せず納期順で月次の生産計画③作業スペースの狭隘さで移動を要する等。
⒝対応策:①作業標準化、マニュアル化、OJT②難易度を考慮した週次の生産計画③作業スペースの5S徹底による移動の削減で生産性を高める。
ふりかえり
ふぞろい採点:17/20(⒜問題点:9/10、⒝対応策:8/10)
85%得点できています。良いです◎
第3問
C社社長は、納期遅延対策として社内のIT化を考えている。C社のIT活用について、中小企業診断士としてどのように助言するか、120字以内で述べよ。
再現答案
生産計画、生産統制の情報をデータベースに登録し、リアルタイムに共有できるよう一元管理を行う。顧客の設計図、仕様書、営業部の見積書、図面、顧客ステータス、製造部の計画、進捗といった情報を社員が誰でもすぐ確認できるようにし、納期遅延防止を図る。
ふりかえり
ふぞろい採点:6/20
事故現場2件目。フレームのDRINKを表面的に使ってふわっとしたことを言っています。120字の問題なのに、第2問の60字感覚で骨組みを作ってしまっていて、共有すべき情報の種類で無駄に文字数を浪費しています。一番大事な「CADデータ」は書けてないし。。
いきなりDRINKから入って思考停止するのではなく、C社に寄り添って考えてみます。
ちなみにDRINKとはIT化のフレームワークです。
D = データベースの活用
R = リアルタイム
I = 一元管理
N = ネットワーク
K = 共有化
ふぞろい15では「事例ⅢといえばDRINK」という誤った教えが掲載されているので注意してください。
解釈していきます。
納期遅延対策として社内のIT化を考えている。C社のIT活用について、中小企業診断士としてどのように助言するか
IT化することで本当に納期遅延がなくなるんでしょうか???うまくいくようにアドバイスしてあげてね。
どうしてIT化したら納期遅延がなくなるの?
それはね、
- 早くする=リードタイム短縮
- 納期自体を遅くする
ことで納期遅延がなくなるんだよ。
そのためにはどうしたらいいの?
それはね、
- DRINK&生産統制強化→生産性向上
- 工数見積もりの標準化→納期を正しくする
をすると良いよ。
という要素を書けるとよかったです。
ふりかえり後答案
受注・納期・進捗情報・CADデータをデータベースに登録し、営業部と製造部がリアルタイムに共有できるよう一元管理を行い、生産統制を強化することで、生産性向上、リードタイム短縮を図る。工数見積りを標準化し、納期を精緻化することで、納期遅延を防ぐ。
ふぞろい採点:20/20
第4問
C社社長は、付加価値の高いモニュメント製品事業の拡大を戦略に位置付けている。モニュメント製品事業の充実、拡大をどのように行うべきか、中小企業診断士として120字以内で助言せよ。
再現答案
高い技術力の強みと都市型建築の増加に伴うモニュメント製作依頼増加の機会を活かし、リードタイム短縮、納期遅延防止で弱みを克服することで、QCD強化、高付加価値化、差別化を図る。具体的には生産計画、生産統制強化、技術力強化、営業力強化を行う。
ふりかえり
ふぞろい採点:13/20
一応6割は取れていますが、抽象的に言いすぎてしまい加点されない要素がもったいなかったです。
事例Ⅲにおいて、営業は「営業力強化」などふわっとした言い方が許されますが、技術は「技術力強化」だけだと物足りないですね。「溶接・研磨技術を標準化・教育により強化する」等と言えるとよかったです。
ふりかえり後答案
強みの溶接・研磨技術と都市型建築の増加に伴うモニュメント製作依頼増加の機会を活かし、リードタイム短縮、納期遅延防止を推進し、高付加価値化、差別化を図る。具体的には標準化と教育による技術力強化、生産計画・生産統制強化、営業力強化を行う。
ふぞろい採点:18/20
本番メモ
まとめ
以上、事故現場2件の再現答案でした。これを読む方が少しでも事故回避されることを願っています。
ちなみにふぞろい採点の合計点は62点でした。実際の60点とは2点差。
ふりかえりまとめ
- 単なる「説明」なのか、解決するべき「問題」なのか、切り分けて読む
- 思い込みをしたとしても、あからさまに明記された問題点を優先して書く
- 与件文はそのまま抜き出す
- 世の中でも使われていない言葉は使わない
- 2次元(平面)、3次元(立体)
- 字数余っても何か詰め込む
- いきなりフレームワークで答えるのではなく、A~D社に寄り添って設問解釈と与件から骨子を組み立てる
- 事例Ⅲにおいて、営業は「営業力強化」などふわっとした言い方で許されるが、技術は「溶接・研磨技術を標準化・教育により強化する」のように具体的に言う。
事例Ⅲの解き方提案
まず、何年たっても色褪せないだいまつさんブログは必ず読んでください。
【永久保存版】平成29年度2次試験事例Ⅲ超高得点解答にみる2次試験合格のポイント! – 中小企業診断士試験 一発合格道場
だいまつさんブログ今読んでも色褪せない有益さ。
— エミリー (@emily_study_) 2022年9月3日
注意喚起されていたのに私は与件をそのまま活用しなかった罪を犯しました🤦♀️
近年の事例Ⅲでは特にお気をつけください https://t.co/EBzKg2qIkw pic.twitter.com/caW4OxwbIE
事例Ⅲは近年答える内容は変わってきていますが、「できていないことをやってくださいと言うだけ」なのは変わってないです。
ということを踏まえて、(既にやっている人も多いと思いますが)
与件を読む1回目のタイミングで「できていない」表現が登場する度に「→やるべきこと」を横にメモしていくことを提案します。
今回のR2年の場合、一部抜粋するとこんな感じです。
イメージの摺合わせに時間を要する場合が多く、
→イメージ摺合わせ時間削減
製作期間が生産計画をオーバーするなど
→計画の精緻化
各作業チームの技術力には差があり
→標準化・教育
工数見積もりなどの標準化が確率しているとはいえない
→工数見積もりなどの標準化
などなど。
とりあえずやるべきことを洗い出しておけば、そのあとゆっくりどの設問でどの要素をいれるか漏れなく当てはめることができます。もしやっていない方がいたらぜひ試してみてください。
おわりに
今さら何年前のふりかえりを…って感じですが、事故現場が気になると言うお声をいただき無事に公開に至りましたw
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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— エミリー (@emily_study_) 2022年9月3日
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事例Ⅲの事故現場2件と解き方の提案です。
— エミリー (@emily_study_) 2022年9月14日
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