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中小企業診断士受験支援ブログ

一次試験多年度生の方へ

こんにちは、エミリーです。 ブログ全体の目次

主に一次試験多年度生の方向けに、一次試験対策を記します。やってほしいこと・使う教材自体は今から診断士試験を勉強する方へで記したことと同じです。

はじめに

まなび生産性向上では、二次試験多年度生でなく、一次試験多年度生の生徒様にもご参加いただいています。

一次多年度の方は、二次多年度の方以上に「バリエーションがなく、ほぼ同じ課題」でいらっしゃいます。一次試験になかなか合格できない方は、以下の点を改善されることで、勉強が楽しくなり、過去問や模試の点数が上がっていらっしゃいます。今年の試験本番の合格も期待しています。

一次多年度生の共通点

  1. マインドセットが硬直しているため点数を上げる行為ではなく、自己満足となる行為をしてしまっている
  2. 人間とは愚かな生き物であることを無視して、愚か対策を怠ってしまっている
  3. 勉強=暗記だと誤解しており、瑣末な知識を積み上げるゲームだと勘違いしてしまっている

上記は二次多年度生にも当てはまる部分があります。以下、詳細について順番に説明していきます。

1.マインドセットが硬直しているため点数を上げる行為ではなく、自己満足となる行為をしてしまっている

こちらの○×表は、シン・試験勉強とは「出来なかった理由の深掘りと対策立案である」でもご紹介しました。

ピンク色は意味のない行為になってしまっている

試験勉強とは、試験の点数を上げる行為のはずです。「点数が上がる」というのは、勉強前ではできなかったはずの問題を、勉強後はできるようになっていることです。つまり、勉強前では×だった問題を、勉強後には○にすることができれば、意味のある勉強をしているということになります。試験勉強とは、×を○にすることです。

ピンク色のように

  • ずっと○
  • ずっと×
  • ○と×がバラついていて、偶然出来たり間違えたり

を続けるくらいなら、その時間(ピンク色の)問題を解くのをやめて、×をじっくりふりかえって次○にするための対策立案に使う方が良いです。

さて、ここまではいつもの主張と同じなのですが、ではなぜ多くの受験生が、上記のような点数が上がらない行為をしてしまうのでしょうか?その答えがマインドセットにありました。

マインドセットとは、「しなやか」or「こちこち」という二項対立になっています。

マインドセットってなんやねん

能力を固定的に考えるこちこちのマインドセットだと、自分が有能だと示さねばならなくなってしまいます。能力は伸びると考えるなら、今の自分の能力が低いことを受け入れられますが、能力が固定だと考えるなら、いつの自分の能力も高いと示さなければならなくなってしまうのです。

点数が上がる勉強とは×を○にすることなので、しなやかなマインドセットと相性が良いです。著書でも

しなやかマインドセットのワークショップに参加した生徒たちは、​それまでひどかった数学の成績が飛躍的にアップしていた。

どんな子でも学力を伸ばすことができると信じている教師たちは、しなやかマインドセットの考え方で生徒たちを指導した。すると、そのクラスでは不思議なことが起こった。学年の初めに成績良好群、不振群のいずれかにいたかに関係なく、どの子もみな学年末には成績良好になっていたのだ。

あなたは、のみこみの悪い生徒を、勉強のできない子と決めつけていないだろうか。そう考えるのではなく、何がわかっていないのか、勉強の仕方のどこがまずいのかをはっきりさせよう。優れた教師はみな、才能や知能は必ず伸びると信じており、学びのプロセスをとても大切にする。

などと紹介されています。

いきなりマインドとか言われても精神論みたいで抵抗があるかもしれませんが、試験勉強というのは×を○にすることなので、まずは自分の×を受け入れる土壌を整えると良いと思います。そのためにも、「やればできる」と思えるようになると良いです。実際、みなさんやればできるようになっていらっしゃいます。

2.人間とは愚かな生き物であることを無視して、愚か対策を怠ってしまっている

次に、人間にはできないことをやろうとしてしまっているという点が挙げられます。具体的には、

  • 人間は忘れるし同じミスをくり返すのに、見返さない。
  • 人間には暗算・暗考は難しいのに、脳内でごちゃごちゃ考える。
  • わからないことをわからないままにする。

という3カテゴリに集約できます。

対策は、

  • ミスノートに記録して見返す
  • 筆算・筆考する
  • わからないことは聞く

となります。

ミスノートについては後述もしますし、試験勉強とは「できなかった理由の深掘りと対策立案」である<やり方>もご覧ください。

わからないことは聞くについては、解説を読んでもわからないときの正解をご覧ください。

今から筆考について述べます。

筆考⇄暗考は、特に、今の点数が高い人と低い人の大きな違いです。点数が低い人の問題用紙はほぼ白紙できれいです。点数が高い人の問題用紙は、書き込みが多く、きたないです。

突然ですが、この問題、何秒でできますか?

暗考

私はちょっと考え込んでしまいます。ではこちらを筆考にしたらどうでしょうか?

筆考

「うさぎ→2、さる→3、…」などが一瞬でわかると思います。

一次試験を暗考せず筆考するためには、一次試験をハックするでお伝えしている

  • 「りんご」「バナナ」にあたる部分を囲うとか
  • 長すぎる文章を翻訳する際、斜め線で区切って読むとか
  • 結局答えが何なのか書く

    全ての問題で、正解を上に書く癖をつける

     

といった対策が必要となります。

また、大変よく見かけるミスとして、 わき見運転(?)による事故があります。

わき見運転で起きていること

これにより、組み合わせ問題の正答率が、より一層低くなってしまいます。

わき見運転による多発事故

「自分はそんな愚かなことはしない」と思いますか?私は暗考したら自分も同じようなミスをすると思います。あまりにも多発事故なので、ぜひ他人事だと思わず自分事として対策していただければと思います。

対策:暗考せず筆考する

りほさんの神通力noteもぜひご覧ください。

「アプリで勉強しているので/問題集を繰り返し解きたいので、書かずに勉強するしかないのですが」という相談をいただくこともあります。暗考しかできないのは勉強の環境として劣悪なので、以下の対策をご提案します。

  • アプリや問題集で問題を表示させるとしても、手元のノートで書きながら解く。これでも問題に直接書き込める場合よりは劣ります。完全に暗考となってしまうアプリ勉は非推奨です。スキマ時間だとしても、アプリ勉をするよりはミスノートを読み返した方が点数が上がります。
  • 過去問などは、やはり直接書ける環境が必要だと思います。プリンターで印刷するか、タブレットで勉強することをおすすめします。タブレット勉強についてはタブレット使ってくださいもご覧ください。最近「極論、問題集を何冊も買っても良いってことですよね?笑」とおっしゃる方にも出会いましたが、その通りですね笑 ただし、時間をお金で買う意識の方にはアリですが、「お金かかるから解き直すのやめよう…」などの節約志向の方には向いてないと思います。

3.勉強=暗記だと誤解しており、瑣末な知識を積み上げるゲームだと勘違いしてしまっている

一次多年度生の方は、「知識不足が理由ではなく、文章を読めていないからミスしている」問題が多いです。それなのに、知識不足と勘違いして追加の知識を覚えようとしてしまうので、“勉強”しているつもりなのに点数に結びつかない構造となってしまっています。

文章ではなくグラフなのですが、わかりやすいので重宝している例をご紹介します。

ミスノートのポイント①

R4経済

この問題を間違えた方のミスノートに以下の2点が記されていました。

  • ジニ係数を知らなかったので覚える。ジニ係数とは〜〜〜
  • グラフは落ち着いて読めばわかるはず。ちゃんと読む。

まず、ジニ係数は覚えるべき知識ではありません。受験生みんなが知らない中、解く問題です。

この例の良いところは、複数の生徒様が「今までは全部知識不足で片付けていましたがジニ係数的な知識を覚えていくゲームではない』と気付けました」とおっしゃっており、暗記すべき知識ではない象徴として「ジニ係数的な知識」とキャッチーなので重宝しています。

次に、グラフに限らず「落ち着いて読めばわかるはず」「冷静に読めばわかった」などのふりかえりもよく見かけますが、冷静に読める日は永遠にやってきません。

さらに深掘りできるとより良くなります。この方と一緒になぜなぜ分析したところ、間違えた選択肢では「白い棒の話をしている」というところまでは分かっていました。白い棒が右肩上がりに上がっていて、すぐ横の縦軸に「改善度」と書いてあったので、「白い棒が改善した」と勘違いしてしまいました。

なぜなぜ分析で判明した勘違い

ですが、この白い棒の縦軸は左側の「ジニ係数」であり、ジニ係数は高いほど格差が大きいので、「1990 年代に比べて、2000 年代以降には、所得再分配前の所得格差が拡大している。」という選択肢は正解でした。(なのに「改善している」から不正解だと勘違いした)

以上を踏まえると、ミスノートに書くべきは

  • ×ジニ係数を知らなかったので覚える。ジニ係数とは〜〜〜
  • ×グラフは落ち着いて読めばわかるはず。ちゃんと読む。

ではなく↓

  • グラフの縦軸を勘違いした。特に縦軸が2つある場合は注意。

といった内容になります。

ミスノートのポイント②

ミスノートは書いて終わりではなく、見返すことで点数が上がります。濃淡なく解説や教科書を丸写しすることは、書き写す時間ももったいないですし、読み返すのも時間がかかってしまいます。

では「濃淡をつけてミスノートを書く」とはどういうことでしょうか?

また経済の例になりますが、「絶対所得仮説と恒常所得仮説」を間違えてしまった方がいらっしゃいました。ミスノートには

と解説やテキストの説明をそのまま書き写されていました。ですがなぜなぜ分析してみると

   私「この仮説は全くの初耳だったんですか?」
 生徒様「いえ、両方ともわかったつもりではいました」
   私「ではどこを間違えたんですか?」
 生徒様「逆だと思ってしまったんです」

といった感じで、全く知らなかったのではなく逆だと思ってしまったというのがミス理由でした。たしかに、「絶対」も「恒常」もなんとなく絶対っぽい感じがして、一瞬どっちがどっちか迷ってしまう気持ちもわかります。

というわけで、ミスノートに書くべきは

ではなく↓

  • 絶対所得仮説と恒常所得仮説を逆だと勘違いしてしまった
  • 恒常=一生と覚えて、絶対は消去法でその逆

みたいに書くと、次から間違えないと思います。

濃淡なく書き写しするのではなく、濃淡をつけてピンポイントに書くと良いです。ピンポイントであればあるほど、読み返す労力も少なくて済み、点数が上がることを楽にやれます。全部丸写しするならテキストを読めばいいのでわざわざミスノートを作る意味もないですし、作るのも読み返すのも時間がかかってめんどくさくなってしまいます。

必要な知識

覚えるべき知識が本当に全く覚えられていない場合のみ、丸写しOKですが、その際も写真やキャプチャで切り貼りするなど省力化して、手で全てを書き写すことのないようにしてほしいです。教科書丸写しは点数は上がらないけど“勉強”した気持ちになってしまう危険行為だからです。

ちなみに覚えるべき知識とは、まとめシートの左側(PDF)に掲載されているレベルの内容であり、予備校テキストやスピテキに掲載されている内容の全てではありません。

(私の推測・妄想です)予備校のテキストや辞書的なテキストは、「こちらはちゃんと伝えていますよ???」と隙を見せないことが目的になっていて、掲載されている知識量は現実的に覚えられる量・合格のために必要な量を大幅に超えています。無理なことに挑んでやる気をなくす・何年も不合格になってしまうくらいなら、必要な量に絞って覚えるのが良いと思います。

必要な知識の定着に向けては、まとめシートチェックテストやみんなが欲しかったシリーズを100点になるまでやると良いです。参考:今から診断士試験を勉強する方へ

予告

以上、一次試験多年度生の方はぜひ参考にしていただければと思います。

ちなみに予告なのですが、正しい勉強を始められるとみなさんまず「ふりかえりに時間がかかってしまって…」としょんぼり(?)されるのですが、悲しく思う必要はありません。それこそが勉強時間だからです。(「勉強に時間がかかってしまって…」と言っているのと同じです。)

「問題を解くことがメインでふりかえりはおまけ」なのではなく、「ふりかえりのために、それ自体では点数は上がらないが×を炙り出すために仕方なく問題を解いている(ついでに実力も把握できる)」という方が正しいと感じます。

おわりに

一次多年度生の共通点についてお話しました。

  1. マインドセットが硬直しているため点数を上げる行為ではなく、自己満足となる行為をしてしまっている
  2. 人間とは愚かな生き物であることを無視して、愚か対策を怠ってしまっている
  3. 勉強=暗記だと誤解しており、瑣末な知識を積み上げるゲームだと勘違いしてしまっている

それぞれの対策をすることで、勉強が楽しくなり、点数を上げる行為(=試験勉強)ができて点数が上がるという好循環になっていらっしゃいますので、一次多年度生の方はぜひ取り入れてみてください。二次多年度生の方にも共通して言える部分はかなりあると思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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